公認心理師や臨床心理士を目指して勉強するなかで「将来はスクールカウンセラーとして働きたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
スクールカウンセラーは、学校で子どもたちの悩みや心の問題に寄り添う仕事です。しかし、実際にどのような相談に対応するのか、週に何日・何時間くらい働くのか、収入はどのくらいになるのかなど、具体的な働き方まではイメージしにくいかもしれません。
また、スクールカウンセラーの勤務条件や報酬、応募資格などは、自治体によって異なる場合があります。
この記事では、文部科学省の資料や自治体が公開している募集要項などをもとに、スクールカウンセラーの仕事内容や勤務時間、給料・年収の目安についてわかりやすく解説します。
スクールカウンセラーを目指している方はもちろん、「資格を取得したあと、どのような働き方ができるの?」と気になっている方も、ぜひ参考にしてください。
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スクールカウンセラーは主に5つの職務がある
スクールカウンセラーの主な仕事内容として、5つの職務が挙げられます。
学校教育法施行規則では、スクールカウンセラーについて「小学校における児童の心理に関する支援に従事する」と定められており、この規定は中学校や高等学校、特別支援学校などにも準用されています。
では、実際に学校ではどのような仕事を行っているのでしょうか。
文部科学省の資料では、スクールカウンセラーの主な職務内容として、次の5つが挙げられています。
- 児童生徒へのカウンセリング
- 教職員に対する助言・研修
- 保護者に対する助言・援助
- ストレスチェックや授業観察等の予防的対応
- 事件・事故等の緊急対応における児童生徒等の心のケア

それぞれ何をするのかを順に見ていきます。
児童生徒へのカウンセリング
学校生活や友人関係、家庭での悩み、不登校、いじめなど、児童生徒が抱えているさまざまな悩みに耳を傾け、心理面からサポートします。
相談につながるきっかけは、児童生徒本人からの申し込みだけとは限りません。担任などの教職員が児童生徒の様子を見て相談につないだり、保護者から相談の希望が寄せられたりすることもあります。
また、スクールカウンセラーの活動は、相談室で児童生徒を待ってカウンセリングを行うだけではありません。学校生活のなかで児童生徒の様子を把握し、必要に応じて教職員などと連携しながら支援していくことも大切な役割です。
文部科学省の資料でも、休憩時間や放課後など、学校生活のさまざまな場面を活用した支援について説明されています。
教職員に対する助言・研修
スクールカウンセラーは児童生徒へのカウンセリングだけでなく、教職員に対して専門的な立場から助言を行うことも大切な仕事の一つです。
たとえば、担任や学年主任などから「最近、児童生徒の様子が気になる」「どのように声をかけたらよいかわからない」といった相談を受け、心理的な視点から児童生徒の状態を整理したり、今後の関わり方について一緒に考えたりします。
このように、専門家が教職員などから相談を受け、問題の理解や対応方法について助言することを**「コンサルテーション」**と呼びます。実際に文部科学省が紹介する活動事例でも、「教職員のコンサルテーション」がスクールカウンセラーの活動として挙げられています。
また、スクールカウンセラーが教職員向けの校内研修に関わることもあります。文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業」では、教員のカウンセリング能力などを高めるための校内研修を実施できることが示されています。
研修などを通して教職員が児童生徒の心理について理解を深めることは、悩みを抱えている児童生徒の早期発見や、学校全体での支援にもつながります。
出典: 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」
保護者に対する助言・援助
スクールカウンセラーは、児童生徒本人だけでなく、保護者からの相談に対応することも大切な仕事の一つです。
たとえば、「子どもが学校に行きたがらない」「友人関係で悩んでいるようだ」「家庭でどのように接したらよいかわからない」といった相談について話を聞き、心理的な視点から助言や支援を行います。
子ども自身が悩みをうまく言葉にできない場合でも、保護者から家庭での様子を聞くことで、学校だけではわからない状況を把握できることがあります。
また、必要に応じて担任や養護教諭などの教職員と連携しながら、児童生徒にとってどのような支援が必要なのかを一緒に考えていくこともあります。
このように、児童生徒だけでなく、保護者の不安や悩みに寄り添いながら支援していくことも、スクールカウンセラーの役割です。
ストレスチェックや授業観察等の予防的対応
児童生徒の心の問題を早期発見・予防するための取り組みとして、たとえば、授業中や休み時間などの様子を観察することで、相談室でのカウンセリングだけではわからない児童生徒の様子を把握できることがあります。
「最近一人で過ごすことが増えた」「友人との関わり方が以前と変わった」など、日常生活のなかで見られる変化に気づくことが、支援を考えるきっかけになる場合もあります。
スクールカウンセラーが一人ですべてを判断するのではなく、担任や養護教諭などの教職員と情報を共有しながら、児童生徒の状態を把握していくことも重要です。
文部科学省の資料では、スクールカウンセラーの主な職務として、「ストレスチェックや授業観察等の予防的対応」が挙げられています。また、いじめや不登校、虐待などの早期発見・早期対応に向け、スクリーニングなどを活用した取り組みも示されています。
相談に来た児童生徒を支援するだけでなく、学校生活のなかで小さな変化を捉え、教職員と連携しながら必要な支援につなげていく役割もあります。
出典: 内閣府掲載「スクールカウンセラー・スクールロイヤーについて(文部科学省)」
事件・事故が起きたときの緊急対応
日常的な相談だけでなく、災害や事件・事故などが発生した際の心のケアに関わることもあります。
大きな災害や事件・事故を経験した児童生徒は、不安や恐怖を感じたり、眠れなくなったりするなど、心身にさまざまな反応が現れることがあります。
こうした場合には、スクールカウンセラーが児童生徒の状態を確認しながら相談に対応するほか、教職員や保護者に対して、児童生徒への接し方などについて助言を行うこともあります。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業」では、災害時に被災した児童生徒などの心のケアを行うため、スクールカウンセラー等を活用する仕組みが設けられています。
実際に、大規模災害が発生した際にはスクールカウンセラーによる支援が行われており、令和6年能登半島地震や令和8年熊本地震などでも、被災した子どもたちへの心のケアに向けた対応が進められています。
このようにスクールカウンセラーには、平常時のカウンセリングだけでなく、緊急時に児童生徒の心理面を支える役割もあります。
出典: 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」
実際に多い相談は不登校と心身の健康
スクールカウンセラーには、児童生徒だけでなく、保護者や教職員からもさまざまな相談が寄せられています。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」によると、令和6年度の相談件数は速報値で合計417万3,783件でした。
相談内容でもっとも多かったのは「不登校」で96万5,233件(23.1%)です。次いで「心身の健康・保健」が73万3,282件(17.6%)となっています。
相談内容の内訳は、次のとおりです。
| 相談内容 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 不登校 | 965,233件 | 23.1% |
| 心身の健康・保健 | 733,282件 | 17.6% |
| その他の内容 | 685,970件 | 16.4% |
| 発達障害等 | 479,158件 | 11.5% |
| 友人、教職員等との関係による課題 | 474,572件 | 11.4% |
| 家庭環境(虐待・貧困等を除く) | 364,288件 | 8.7% |
| 学業・進路 | 289,537件 | 6.9% |
| いじめ、暴力行為、非行等の問題行動 | 106,057件 | 2.5% |
| 児童虐待 | 45,786件 | 1.1% |
| ヤングケアラー | 9,940件 | 0.2% |
| 性的な被害 | 8,446件 | 0.2% |
| 性的マイノリティ | 7,768件 | 0.2% |
| 貧困による課題 | 3,746件 | 0.1% |
| 合計 | 4,173,783件 | 100% |
この結果からも、スクールカウンセラーには不登校や心身の健康に関する相談だけでなく、発達障害、友人・教職員との人間関係、家庭環境、学業・進路、いじめなど、幅広い相談が寄せられていることがわかります。
そのためスクールカウンセラーには、カウンセリングの知識だけでなく、学校教育や子どもの発達、家庭環境などについて幅広い視点を持って支援することが求められます。
※1回の相談が複数の項目に当てはまる場合は、主な項目1つをカウント。同じ人が複数回相談した場合は、それぞれ相談件数としてカウントされています。また、児童生徒だけでなく保護者・教職員からの相談も含まれます
出典: 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」
不登校に関する相談が多い背景
スクールカウンセラーへの相談のなかで、不登校に関する相談が多くなっている背景の一つとして、不登校の児童生徒数が増加していることが挙げられます。
文部科学省の令和6年度調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は35万3,970人でした。内訳は小学生が13万7,704人、中学生が21万6,266人で、過去最多となっています。
また、不登校の背景は一つの原因だけで説明できるものではありません。同調査では、不登校児童生徒について学校が把握した事実として、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」30.1%、「生活リズムの不調に関する相談があった」25.0%、「不安・抑うつの相談があった」24.3%などが挙げられています。
スクールカウンセラーが不登校の相談を受ける際も、単に「学校へ行けるようにする」ことだけを目的とするのではなく、本人が抱えている不安や気持ちに耳を傾け、生活の状況や学校・家庭での困りごとなどを整理しながら支援していくことが大切です。
必要に応じて保護者から相談を受けたり、担任や養護教諭などの教職員と情報を共有したりしながら、児童生徒が安心して過ごせる環境や必要な支援について一緒に考えていくことも、スクールカウンセラーの役割となります。
出典: 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要」
スクールカウンセラーの基礎配置は週4時間が目安
スクールカウンセラーの仕事内容を知るうえでは、どのくらいの時間、学校に配置されているのかも押さえておきたいポイントです。
文部科学省の令和8年度予算資料によると、スクールカウンセラー等活用事業には、全公立小中学校への基礎配置として週4時間が示されています。
スクールカウンセラーは限られた勤務時間のなかで、児童生徒へのカウンセリングだけでなく、保護者や教職員への助言、情報収集やアセスメントなど、さまざまな業務に対応します。文部科学省の資料でも、勤務時間のなかで児童生徒が抱える課題などの状況に応じて柔軟に対応することが示されています。
ただし、実際の勤務日数や勤務時間は自治体や配置先などによって異なります。 文部科学省もフルタイム等の任用を促しているため、「スクールカウンセラーは必ず週4時間だけ働く」という意味ではありません。
重点配置校では週4時間の追加配置も
すべての学校が同じ配置時間というわけではありません。いじめや不登校、虐待、貧困などへの対応を充実させるため、スクールカウンセラーの配置時間を追加する「重点配置」も行われています。
文部科学省の令和8年度予算では、全公立小中学校への基礎配置として週4時間が示されているほか、重点配置として11,300校に週4時間を追加する計画が示されています。
重点配置の内訳は、いじめ・不登校対策が7,000校、虐待対策が2,000校、貧困対策が2,300校です。
こうした重点配置によって、児童生徒へのカウンセリングや保護者への支援、教職員との情報共有などに対応できる教育相談体制の充実が図られています。文部科学省の資料でも、スクールカウンセラーの勤務時間のなかで、児童生徒が抱える課題の状況に応じて柔軟に対応することが示されています。
ただし、実際の勤務時間や勤務日数は自治体や配置先、任用形態などによって異なります。 スクールカウンセラーの求人を探す際は、「週4時間」という数字だけを見るのではなく、募集要項に記載されている勤務日数や1日の勤務時間、担当校数などを確認することが大切です。
出典: 文部科学省「令和8年度 スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーによる教育相談体制の充実」
担当校が1校とは限らない
スクールカウンセラーとして働く場合、必ずしも1人が1校だけを担当するとは限りません。 自治体や配置形態によっては、複数の学校を担当することもあります。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」によると、平成21年度からは、特定の学校への配置だけでなく、複数の学校を巡回して担当する「巡回校」や、必要に応じてスクールカウンセラーが派遣される「派遣校」という形態も可能とされています。
そのため、実際の働き方は、毎週同じ学校に勤務するケースだけではありません。曜日などによって勤務する学校が変わったり、複数の学校を行き来しながら児童生徒や保護者、教職員の相談に対応したりする場合もあります。
複数校を担当する場合には、学校ごとに児童生徒の状況や相談内容、教職員との連携方法などが異なるため、限られた勤務時間のなかで情報を整理し、それぞれの学校と連携しながら支援を進めることも大切になります。
スクールカウンセラーの求人に応募するときは、勤務時間や報酬だけでなく、「担当する学校数」「勤務する曜日」「学校間の移動があるか」なども募集要項で確認しておくとよいでしょう。
出典: 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」
スクールカウンセラーの1日の流れ【勤務例】
勤務時間や仕事内容は自治体や学校によって異なりますが、ここでは週1回・1日6時間勤務の場合を例に、1日の流れを見てみましょう。
千葉県の募集要項では、スクールカウンセラーの勤務条件の一例として、年間の勤務時間や1日あたりの勤務時間が定められています。ただし、実際の勤務スケジュールや業務内容は配置先によって異なります。
たとえば、次のような流れが考えられます。
- 出勤・教職員との情報共有
養護教諭や教育相談担当者などと情報を共有し、その日の面談予定や気になる児童生徒について確認します。 - 児童生徒とのカウンセリング
予約している児童生徒と面談し、学校生活や友人関係、家庭での悩みなどについて話を聞きます。 - 校内で児童生徒の様子を確認
必要に応じて授業や休み時間などの様子を確認し、相談室以外での児童生徒の様子も把握します。 - 保護者への支援・教職員への助言
保護者から相談を受けたり、担任などの教職員から児童生徒への対応について相談を受けたりします。 - 記録・情報整理
面談内容などを記録し、必要に応じて教職員と今後の支援について確認します。
このように、スクールカウンセラーの1日は、児童生徒とのカウンセリングだけで終わるわけではありません。
保護者への支援や教職員との情報共有、児童生徒の様子の把握、記録の作成など、限られた勤務時間のなかでさまざまな業務に対応します。
また、児童生徒の状態によっては予定していなかった相談への対応が必要になることもあります。そのため、その日の相談状況や学校の事情に合わせながら、優先順位を考えて業務を進めることも大切です。
※上記はスクールカウンセラーの仕事内容をイメージしやすくするための一例です。実際の勤務時間や業務の流れ、面談時間・件数などは自治体や配置校によって異なります。
勤務条件と報酬は自治体によって異なる
スクールカウンセラーとして働く際に確認しておきたいのが、勤務日数や勤務時間、報酬などの勤務条件です。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」では、事業の実施主体を都道府県・指定都市としています。そのため、実際の募集や選考、配置などは、それぞれの自治体が定める内容に沿って行われます。
勤務条件は全国一律ではなく、勤務日数や1日の勤務時間、報酬、担当する学校数などは自治体によって異なります。
たとえば、令和8年度の埼玉県スクールカウンセラーは会計年度任用職員として募集され、任用期間は1年間です。勤務日数は週1~3日、1日の勤務時間は5時間50分、報酬は日額25,800円(予定)とされています。
そのため、スクールカウンセラーの求人を探す際には、「スクールカウンセラーならこのくらいの勤務時間・給料」と考えるのではなく、希望する自治体の最新の募集要項を確認することが大切です。
3自治体の募集要項を比べる
実際に公開されている令和8年度の募集要項を並べます。
| 項目 | 千葉県 | 埼玉県 | 京都市 |
|---|---|---|---|
| 勤務時間 | 中学校は年間210時間(週1回、年35週程度)、小学校は年間102時間(隔週1回、年17週程度)。1日原則6時間 | 週1日から週3日。週1日勤務の年間勤務日数は40日から46日。1日5時間50分 | 年間280時間(1日7時間30分まで、約38回) |
| 報酬 | 経験3年以上は時間額5,400円、3年未満は時間額5,000円、準ずる者の要件該当者は時間額3,500円 | 日額25,800円(予定) | 週1日から3日勤務は時給5,000円、週4日勤務は月給327,624円 |
| 任用期間 | 令和8年4月上旬~令和9年3月下旬頃予定 | 令和8年4月1日~令和9年3月31日 | 令和8年4月1日から令和9年3月31日 |
| 任用形態 | 会計年度任用職員 | 会計年度任用職員 | 会計年度任用職員 |
任用形態:会計年度任用職員(原則1会計年度の範囲で任用される地方公務員)
※勤務時間や報酬などの条件は、各自治体が公開している募集情報をもとに掲載しています。年度や配置先などによって変更される場合があるため、応募の際は各自治体の最新の募集要項をご確認ください。
年収の目安は勤務時間や勤務日数から考える
スクールカウンセラーの収入を考えるときは、時給や日額だけでなく、年間でどのくらい勤務するのかを確認することが大切です。
たとえば、千葉県の募集ページに掲載されている勤務条件をもとに計算すると、中学校配置で年間210時間、時間額5,400円の場合、単純計算では年間113万4,000円となります。
ただし、スクールカウンセラーの勤務時間や報酬、担当校数などは自治体や配置先によって異なります。また、手当などが支給される場合もあるため、実際の年間収入は募集要項の条件を確認する必要があります。
スクールカウンセラーとして働くことを考えている方は、報酬額だけを見るのではなく、年間の勤務日数や勤務時間、担当校数などをあわせて確認しておきましょう。
スクールカウンセラーになるための主な資格要件
スクールカウンセラーになるために、全国共通の「スクールカウンセラー資格」があるわけではありません。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」では、スクールカウンセラーとして選考する対象として、次の5つが定められています
スクールカウンセラーとして選考される5区分
実施要領が挙げるのは次の5区分です。
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神科医
- 児童生徒の心理について高度な専門知識・経験を持つ大学教授等
- 都道府県または指定都市が、上記と同等以上の知識・経験を有すると認めた者
このなかでも、スクールカウンセラーを目指す際の代表的な資格といえるのが、国家資格の「公認心理師」と民間資格の「臨床心理士」です。
「児童心理士」など、上記に記載されていない民間資格を取得しただけで、スクールカウンセラーの資格要件を満たすとは限りません。
ただし、自治体が知識や経験を踏まえて認める区分や、後述する「スクールカウンセラーに準ずる者」として応募できる場合もあります。そのため、希望する自治体の募集要項で応募資格を確認することが大切です。
さらに、文科省のQ&Aでは、資格を持っているという事実だけで選考するのではなく、面接などを通じて学校現場での活動実績等も十分に踏まえて選考する必要があると説明されています
「スクールカウンセラーに準ずる者」として応募できる場合もあるので公認心理師も臨床心理士も持っていない場合は、準ずる者の区分に応募できるかを確認してください。
文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」では「スクールカウンセラーに準ずる者」として、次のように明記されています。
- 大学院修士課程を修了した者で、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について1年以上の経験がある者
- 大学または短期大学を卒業した者で、同様の業務について5年以上の経験がある者
- 医師で、同様の業務について1年以上の経験がある者
- 都道府県または指定都市が、上記と同等以上の知識・経験があると認めた者
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの違い
スクールカウンセラーとよく似た職種に、スクールソーシャルワーカー(SSW)があります。
学校教育法施行規則では、スクールカウンセラーは児童の心理に関する支援、スクールソーシャルワーカーは児童の福祉に関する支援に従事する職種として位置づけられています
両者の違いは、学校教育法施行規則の条文にそのまま表れています。
| 項目 | スクールカウンセラー | スクールソーシャルワーカー |
|---|---|---|
| 従事する支援 | 児童の心理に関する支援 | 児童の福祉に関する支援 |
| 主な資格 | 公認心理師、臨床心理士 等 | 社会福祉士、精神保健福祉士 等 |
| 令和8年度の基礎配置 | 全公立小中学校に週4時間 | 全中学校区に週3時間 |
| 令和8年度の重点配置 | 11,300校に週4時間を追加 | 11,000校に週3時間を追加 |
| 令和8年度予算額 | 63億5,000万円 | 24億6,800万円 |
スクールカウンセラーは、カウンセリングなどを通して、児童生徒の心や心理面に働きかけることを専門としています。一方、スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門的な知識や技術を生かし、児童生徒が抱えている問題の背景にある家庭や学校、地域などの環境に働きかけることを大きな役割としています。文科省も、両者がそれぞれの専門性を生かして連携・協力しながら児童生徒を支援することを示しています。
たとえば、不登校の児童生徒を支援する場合、スクールカウンセラーが本人の不安や気持ちについて相談に応じる一方、スクールソーシャルワーカーが家庭環境や福祉サービスなどの状況を確認し、必要に応じて関係機関との連携を進めるといった形で、それぞれの専門性を生かしながら支援することがあります
出典:スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A(文部科学省)
心理カウンセラーの資格を目指すなら
※以下は心理カウンセリングに関する資格の一例です。これらの資格を取得することで、スクールカウンセラーの応募資格を満たせるとは限りません。スクールカウンセラーを目指す場合は、希望する自治体の募集要項で資格要件を確認してください。
公認心理師 臨床心理士 【SARAスクール】心理カウンセラー 【資格のキャリカレ】産業心理カウンセラー 【資格のキャリカレ】メンタル心理カウンセラー 【日本統合医学協会】アドラー心理学検定1級講座 【ラーキャリ】心理カウンセリングアドバイザー
まとめ
スクールカウンセラーは、学校で児童生徒の心理面を支援する専門職です。
児童生徒へのカウンセリングだけでなく、保護者への助言、教職員へのコンサルテーションや研修、心の問題を早期発見するための取り組み、事件・事故や災害時の心のケアなど、幅広い役割を担っています。
特に、不登校や心身の健康、人間関係、家庭環境、発達に関することなど、学校に寄せられる相談内容はさまざまです。そのため、児童生徒本人だけを見るのではなく、保護者や教職員、スクールソーシャルワーカーなどと連携しながら支援していくことが大切になります。
また、スクールカウンセラーの勤務時間や報酬、担当校数などは自治体によって異なります。文部科学省の事業では全公立小中学校への週4時間の基礎配置が示されていますが、実際の働き方は自治体や配置先、任用形態によって異なるため、応募する際は最新の募集要項を確認しましょう。
スクールカウンセラーとして選考される主な対象には、公認心理師や臨床心理士、精神科医などがあります。一方で、一定の学歴や相談業務の経験などを満たした場合には、「スクールカウンセラーに準ずる者」として選考の対象になる場合もあります。



スクールカウンセラーを目指している方は、資格取得だけでなく、学校現場でどのような役割を担うのか、どのような働き方になるのかまで理解したうえで、自分が働きたい自治体の募集要項を確認してみてください。
